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ログってなんでログって言うの?

ログの語源にまつわる話

ログ歴史この記事は最終更新日から1年以上が経過しています。

はじめに

ログと言えば今では記録をするというイメージの方が強くなっているが、元々はログハウス(丸太小屋)のようにログとは棒や丸太(山から伐り出した原木、1皮をはいだだけの材木)のことです。

電子用語のログは正確には「データログ」のことです。ちなみにブログはウェブサイトのログを記録するというウェブログ(web log)が略称されてブログ(Blog)となっています。

それでは丸太(log)がどうして記録という意味が含まれるようになったのか説明していきます。

ログの語源

航海中の船は緯度と経度から船位を知るわけですが、コロンブスをはじめとする大航海時代の船乗りたちにとって緯度を知ることは容易で、ごく簡単な計測器で正午の太陽の高さ(角距離)を測定すれば、そこから簡単に緯度を割り出せました。
問題は経度です。経度はどれだけ進んだかを計測して記録するんですが当時は船の航行速度を測定する装置がない時代なので、丸太(ログ)を船首から投げ込んで時間の経過と離れていく水上の丸太との距離で船の速度を測り、これを航海日誌(ログブック:logbook)に記録しました。
その結果を記録するので「航海日誌→記録」の意味でも使われるようになり、飛行機の時代になっても飛行機の機長が付ける航空記録もログと呼ばれるようになりました。

これが現在でも色々な記録をログと言う語源になりました。

電子用語でログという言葉が使われるようになったのは1963年ごろ(1964年IBMはSystem/360を発表)で、データ処理におけるイベントを体系的に記録することを指した。
日本コンピューター産業の父「池田敏雄」から見る黎明期コンピューターの歩み

速度(ノット)の語源

船の航行速度の単位「ノット(knot)」といいます。ノットには結び目という意味があります。

丸太は本来燃料なのでもったいないし夜間は測れないということで、大きな丸太に一定間隔で結び目のついたロープを取り付け、その丸太を航海中の船の上から海に投げ込み砂時計で計った一定時間にどれだけ結び目が出たかその数を数えることで、夜間でも手の中を通る結び目(ノッチ)で速度を数える事が出来ます。これが速度(ノッチ)の語源になりました。

世界統一するために1ノットで1時間進むと1海里と決め、1海里は緯度の1分の距離1852メートルと決められています。

マスター・アンド・コマンダー

2003年のアメリカ映画にナポレオン時代の海洋戦争映画「マスター・アンド・コマンダー」(Master and Commander)があります。
その映画の中で、帆船の船尾に立つ艦長が水夫にロープにつないだ丸太を海に投げ入れるよう命じ、少年下士官が砂時計を逆にした。砂が落ち終わると艦長はどんどん出て行っていたロープを止めさせ、ロープに一定間隔で結んであるknot(ノット:結び目)を数えさせるといった場面が観られます。

ログイン(log in)の語源

ログイン(log in)とは、「丸太を海に投げ込め!」という号令で「航海開始・航速測定!」のこと。
そこからコンピューターでは、ログイン(log in)は「記録の中に=接続する」として接続開始の意味となっている。

その他

経度の計測器開発

大航海時代に緯度には計測器がありましたが、経度はありませんでした。母港からの距離を丸太(ログ)を投げて計測するという推測法で測っていました。航海士にとって海上におけて正確な位置(船位)を知ることが何よりも重要です。経度が分からないため長い航海がますます長くなるとビタミンC不足からくる壊血病に苦しむ船員が増えるのです。

海運先進国イギリスは15,16世紀に盛んに遠洋航海に出たが海難が多発した。
1714年イギリス政府は経度法で「経度を測定できた者に国王の身代金に相当する賞金を与える」として懸賞金を出して発明家たちに開発を促したのです。
参照:経度の歴史 - wikipedia

当時、振り子式の時計はすでにあったが絶えず揺れつづける船の上で使えるものではなかったので、クロノメーター(携帯用ぜんまい時計)と呼ばれる正確な航海時計が必要だったのです。

懸賞金は精度別に3ランクが設けられた。トップランクはイギリスから西インド諸島までの航海で経度0.5度、時間にして2分以内の精度を満たさなければならない。
政府の出した基準を満たすクロノメーターの製作に成功し2万ポンドの賞金を手に入れたのは、ヨークシャーの大工の息子「ジョン・ハリソン(1693年-1776年)」でした。開発期間は1739年(H1)~1764年(H5)の25年。

かなり早い段階で十分に高精度なクロノメーターが完成したのにも関わらず懸賞金の全額を受け取ったのは1773年です。なぜ時間がかかったのかというと、当時の天文学会の重鎮が庶民である一介の時計職人の業績を認めることに猛反発したからです。
しかし、イギリス国王ジョージ3世は「懸賞金は経度の正確な測定法を開発した者に授けられるもので、開発者の身分に対して授けられるものではない」と激怒して、やっと認められたのです。

対数log

数学の対数の記号に「log」が使われていますが、こちらの名前の由来は、logos (比、神の言葉)とギリシャ語のarithmos (数) を合わせて logarithms(ロガリズム) という造語でネイピアが考案しました。今回のログとの関連性はありません。
ジョン・ネイピアが20年かけた対数表について

ログオンとログインの違い

プロジェクトの用語統一のところで、ログオン→ログインとすると記述があり、そもそもログオンとログインの違いとは何?ってことで調べてみました。

  • UNIXやLinuxのシステムは「ログイン」「ログアウト」
  • Microsoft社のシステムは「ログオン」「ログオフ」

但し、Microsoftでもログオンとログインという用語を使い分けて用いている。

  • ログオン : 端末の使用を開始するとき
  • ログイン : ネットワークに入るとき

Windowsやその前身のLAN Managerは以前から認証処理を分散化させていたので、特定のサーバに限定せずネットワーク全体に乗っかる(on)イメージの用語としてログオンを使うようになったらしいです。
ログインは特定のサーバに入る(in)ようなイメージだそうです。

サインイン(Sign in)フレーズ

Microsoftのユーザーアカウント認証は「サインイン」「サインアウト」で、Microsoftアカウントに紐付くWindows PCで使用されている。でも、ASP.NETのMVCテンプレートを作成すると「ログオン」「ログオフ」になる。

国によって違うかも知れません。日本だと下記の通りでした。

サービスアカウント認証
Microsoftアカウントサインイン \ サインアウト
ASP.NET系システムログオン \ ログオフ
Apple IDサインイン \ サインアウト
Googleログイン \ ログアウト
Facebookログイン \ ログアウト
Yahoo! Japanログイン \ ログアウト
Amazonログイン \ ログアウト
Twitterログイン \ ログアウト
サインイン \ サインアップ
はてなログイン \ ログアウト
Qiitaログイン \ ログアウト
Lineログイン \ ログアウト
SlideShareログイン \ サインアップ
Bingログイン \ ログアウト

英語として

各単語とその反対語。これは英語をみれば明らか(インvs.アウト, オンvs.オフ等)
サインアップがたまに混ざりますね。

単語反対語
サインインサインアウト
サインアップ
サインオンサインオフ
ログインログアウト
ログオンログオフ

英語の感覚として out と off はどう違うかについては、マーク・ピーターセン著「英語感覚をみがく」に記述がある。

ある点や面から離れて、関係ないところにいる、というのが off で、ある立体的な空間の内から外へ、というのが out、言い換えれば、ある場所を二次元の感覚でとらえれば off で、三次元の感覚で意識しているのが out です。

最後に

ログが丸太から記録という意味になった経緯が分かりました。ログイン(log in)が「丸太を海に投げ込め!」という号令だったこと、そこからコンピューターに接続開始の意味に転じるようになったわけです。

MicrosoftとAppleがサインイン\サインアウトになっています。ログインというのはどこかでコンピューター専門用語だとすると、フラットデザインのようにGoogleがサインイン\サインアウトに切り替えれば、世の中一気に切り替わるかも知れませんね。

https://qiita.com/yaju/items/ae2767c5ebb64da5a096

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